調査背景
副業が解禁になってから、スキルアップへの関心が高まっています。プログラミングスクールの受講者が増加傾向にあるのもその影響でしょう。新たなスキルを習得し、副業やキャリアプランに活用しようと考えている人も多いようです。
今回は、プログラミングスクールを受講した経験のある男女110名を対象に、利用動機や満足度、受講後の変化などについて調査をおこないました。
プログラミングスクールは独学に比べ、圧倒的な学習効率がメリットです。現代はお金以上に、「いかに時間を有効に活用するか」が求められる時代。時間軸を考慮しても、納得の結果ですね。
調査概要
【調査概要】プログラミングスクールの利用目的・満足度に関するアンケート調査結果
【調査機関】自社調査
【調査対象】プログラミングスクールに通った経験のある男女
【有効回答数】110名
【調査方法】WEBアンケート(ランサーズ・クラウドワークス)
【調査期間】2022年4月29日~同年5月13日
スクールに支払った費用を選択ください
- 0:10
- 1~10万未満:21
- 10万~30万未満:38
- 30万~50万未満:18
- 50万~70万未満:20
- 70万~100万未満:1
- 100万以上:2
スクールに支払った費用は1位が「10万~30万未満」でもっとも多く、2位が1~10万未満です。3位は2位と1票差で50万円~70万円未満となっており、金額にばらつきが見られます。
中には100万円を超える費用で学習した回答者もいました。プログラミングスクールや受講先を選ぶ人の予算によって、幅広い選択肢があると言えるでしょう。
破格のスクールは基本的に条件があります。年齢制限の幅が狭い、学べる言語が限られている、などです。せっかくプログラミングスクールを利用するなら、10~30万円は投資した方が、プログラミングスクールの恩恵をしっかり受けられると感じます。
受講期間を選択ください
- 1か月未満:3
- 1か月~3か月未満:36
- 3か月~5か月未満:24
- 5か月~7か月未満:33
- 7か月~9か月未満:3
- 9か月~11か月未満:1
- 11か月~1年未満:4
- 1年以上:6
1位は1か月~3か月未満でした。2位は5か月~7か月未満、3位は3か月~5か月未満です。受講期間は短期集中タイプと半年前後のタイプが多いとわかりました。
いっぽうでは1年以上の長期にわたる受講期間を選択した人もいます。習熟度や目的によって期間が変わる傾向がみられます。
受講期間は、人によって千差万別です。目的も違いますし、習得スピードも全員一定ではありません。「早ければいい」ということはないので、じっくり自分のペースで学ぶことが大切です。他人ではなく、過去の自分と比較すべきです。
プログラミングスクールを利用した動機・利用目的を教えてください (複数選択可)
- 起業の為:8
- 就職・転職の為:38
- フリーランスになりたかった:26
- 教養・スキルアップの為:59
- 副業を始めたかった:44
プログラミングスクールを利用した動機・利用目的の結果は上記の通りになりました。もっとも多いのが「教養・スキルアップのため」、次点で「副業を始めたかった」です。
そのほかにも就職や転職、起業、フリーランスとしての独立を視野に入れた受講目的がみられ、プログラミングがキャリアプランに関わる項目であることが分かります。
この目的がはっきり明確になるからこそ、プログラミングの習得スピードは向上すると思います。スクールを選ぶ際も、目的の達成に役立つか見極めるのがポイントといえます。プログラミングはあくまで、手段です。
数ある学習方法の中からスクールを選んだ理由を教えてください (複数選択可)
- 独学で限界を感じた:56
- 効率的に学びたかった:69
- 講師から学びたかった:35
- 就職支援があったから:15
- 挫折せず強制的に学ぶ切るため:22
- ポートフォリオを作成したかった:7
受講するプログラミングスクールを選んだ理由は、1位が「効率的に学びたかった」、2位が「独学で限界を感じた」、3位が「講師から学びたかった」です。いずれも習得に対する熱意がうかがえる結果になりました。
また、最後まで学び切るためであったり、就職支援があったためという理由もランクインしています。ポートフォリオを作成したかったという理由と総合して考えると、習得したい、キャリアプランに役立てたいと考えている人が多いことが分かります。
学習効率、教えてくれる講師の存在、挫折対策…どれもプログラミングスクールの最大のメリットであるため納得です。特に「わからない時に質問に答えてくれる講師の存在」は、プログラミング初学者のメンタル面においても、たいへん心強いです。
目標は達成出来ましたか?
- 当初の予定より達成できた:9
- 予定通り達成できた:32
- 予定の半分程度は達成できた:37
- 予定の半分以下の達成率だった:24
- ほとんど達成できなかった:8
目標の達成に成果を感じた人が多い傾向です。1位は「予定の半分程度は達成できた」、2位は「予定通り達成できた」という結果になっています。
中には「当初の予定より達成できた」と回答した人も。プログラミングスクールで大きな成果を得られたようです。もともとの学習意欲の高さにスクールが応えた形ではないでしょうか。
プログラミングを習得できると、人生の選択肢が広がり、できることが増えます。論理的に考える力が身に付くことと、学習そのものが楽しいと感じるからです。したいことの実現のためと思えば、プログラミングスクールはいい投資だと思います。
受講したプログラミングスクールを選んだ1番大きな理由を教えてください
- 受講費用がマッチした:33
- 受講期間がマッチした:9
- スクールが提示している実績で選んだ:21
- 学習サポート体制がマッチした:37
- 受講後のキャリアサポートがよさそうだった:10
1位は「学習サポート体制がマッチした」です。2位に「受講費用がマッチした」、2位に「スクールが提示している実績で選んだ」がランクインしました。学習意欲や予算とのマッチング、スクールの過去の実績が大きく影響しています。
受講後のキャリアサポートへの期待を挙げる人もいました。受講をキャリアチェンジ、またはキャリアアップのチャンスとしてとらえる考え方でしょう。
プログラミングスクールによって、内容や期間も異なります。選ぶ際はネットの評判を参考にするのも大事です。しかしそれ以上に、無料カウンセリングでしっかり自分の目で判断しましょう。本質は自身の目的を達成すること。スクールは手段です。
プログラミングスクール受講後の年収の変化を教えてください
- 年収が50万以上アップした:4
- 年収が30~50万アップした:7
- 年収が10~30万アップした:16
- 年収が1~10万アップした:37
- 変わらなかった:41
- 受講前より下がった:2
1位は「変わらなかった」、2位は「年収が1~10万アップした」でした。大幅な年収アップにつながった人は少ないようです。しかし30~50万、50万以上のアップを果たした回答者もいます。習得したスキルを活用できるか否かが、年収アップの分かれ目になるかもしれません。
スクールを卒業しただけでは当然、どの企業でも年収には響きません。年収を上げるためには、「スクールで学習した内容をどう活かすか」「どのように会社に貢献できるか」を自ら考え、上手に交渉することです。資格取得を目指すのもひとつです。
プログラミングスクール受講後満足度を教えてください
- 満足:19
- やや満足:45
- 普通:20
- やや不満:21
- 不満:5
受講後の満足度は1位が「やや満足」、2位が「やや不満」、3位が「普通」でした。「満足」は4位にとどまっています。学習意欲の高さが関係しているのか、もっと学びたかったと感じた人が多いようです。
スクールによっては、カリキュラムが終わったら卒業といった感じで、満足いくまで学習させてもらえないところもあると聞きます。回転率を重視しているためでしょう。スクールを利用しているからと安心せず、予習・復習はしっかり行うことです。
あなたの受講したプログラミングスクールを教えてください
- テックキャンプ:12
- 侍エンジニア:11
- DMM WEBCAMP:9
- テックアカデミー:8
- コードキャンプ:5
- テックアカデミー:5
- ギークジョブ:5
- テックアイエス:5
- アビバ:5
- テックジム:4
- ヒューマンアカデミー:4
- インターネット・アカデミー:4
- Winスクール:4
※3以下のスクールは掲載の都合上割愛させて頂きます。
有効回答の中でもっとも利用が多く、1位となったプログラミングスクールは「テックキャンプ」でした。日本最大級を誇るスクールです。2位は「侍エンジニア」、3位は「DMM WEBCAMP」となっており、いずれも知名度の高さがうかがえるスクールです。
4位以下のプログラミングスクールも決して無名ではありません。以前から実績を重ねているスクールが数多くランクインしています。
転職保証の年齢制限は、一般的に20~25歳です。しかしテックキャンプは39歳。30代からプログラマーを目指す方も多いので、心強いです。DMM WEBCAMPも、「現場で即戦力となれる人材」の育成に注力しており、本質を見極めているなと感じます。
スクール受講して良かった点を具体的に教えてください
カリキュラムが組まれている事で、独学で学ぶより効率的に学べました。プログラミングの知識は幅広いですが、必要な所を学べるのと、実践し調べながら進めていくことの大切さも理解できました。また、SNSで同じスクールのコースを受講している方と繋がれることで、モチベーションの維持、アップになりました。活躍できる幅が広がり本業にも活かすことで、年収アップにもなりましたし、プログラミングで大事なググり力が他の分野でも生かされて、何でも調べたら出来るだろうと、挑戦できるようになりました。
体系的に作られたテキストに準拠して取り組む中で、どんな点に躓いているのかを講師に対して説明するための語彙やセンテンスを自分で準備する習慣がついた点。
独学では一つの工程を理解するのに時間がかかるが、スクールだと直接先生に質問ができる。学校側でスケジュールもうまく管理されている為短期間でスキルがつく。経験者の話が直接聞けるのもありがたい。
定期面談では、メンターが言語化できないような問題点でも理解してくれ、丁寧に対応してくださった。また、毎回の面談で目標設定をするので、スケジュール立てて行動するスキルが多少身についたと感じる。わからない点をチャットサポートで質問したところ、迅速にかつわかりやすく回答してくれた。
効率的な学習を進められたことや自分の学習姿勢の変化、講師とのやり取りや丁寧な対応にメリットを感じたという声が集まっています。
独学では限界を感じていたものの、スクールに通うことによって問題をクリアできたとの声も。受講生のスキルアップにスクールが役立った好例と言えるでしょう。
最近のスクールはただ教えるだけでなく「自ら考えて、調べさせる力」を伸ばす方針です。たしかに現場では、自分で考えて調べることが必須。聞くことしかできない「教えてクン」では務まりません。スクールを利用しても、その意識は持ちましょう。
スクール受講して不満を感じた点を具体的に教えてください
同じようなスキルを学習できるスクールがいくつも存在し、更には総額の料金が10万円以上安かったところを開始1か月後に知ったことです。高い金額を払ってしまったと後悔しました。
利用料金が他のスクールに比べて割高で、コストパフォーマンスが良くありません。カリキュラムも難しく、初学者である自分にはついていくのが難しかったです。
最終的に就職支援があまりなかったため、直接的な就活には至らなかったため結果的に現在はフリーランスとなった。
受講中は特に講師の方達から定期的に連絡が来る訳でもないですし、こちらからアクションを起こさないと対応してくれないのが本当に不満でした。実際に1部の教材が揃っていなかった為、足りない分は後で送られてくる事になっていましたが、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月経ちましたが、全然届きませんでした。問い合わせたところ、住所が間違っていた為、郵便物が配達されず戻ってきてしまいそのままでしたとの事。自分は通学していましたし、携帯電話の番号もスクールに入った時記入したので、対応方法はいくらでもあったはずです。その時に、生徒さんのことを大事にしないスクールなんだなと思い、大変不満を感じました。
受講料、コストパフォーマンスへの不満をはじめ、受講した人ならではのリアルな声が寄せられています。キャリアチェンジへの活用を考えていた人の中には就職支援に物足りなさを感じた一面も。
手配ミスによるトラブルや、社会人ならではのスケジュール調整の難しさなど、コミュニケーション不足が原因ではないかと考えられるケースもあったようです。
高い金額を投資する以上、やはり失敗や後悔は避けたいものです。「講師の質がいまいちだった」という話もよく聞きます。そのため、たとえ面倒でも複数のスクールの無料のカウンセリングに足を運びましょう。そのうえで雰囲気や内容を比較し、見極めることです。
受講後だかこそ言える、今からプログラミングスクール選びをする人へのアドバイスを教えて下さい
通学の場合、その場ですぐに質問できる利点がありますが、マンツーマンでない限り質問の順番を待つ時間のロスと通学にもお金と時間がかかるので、オンライン受講をすればよかったと思いました。教育訓練給付金制度が利用できるととてもお得に受講できるので、対象の講座になっているかどうかを予め確認してから受講することをお勧めします。
単に利用料金の安い高いで決めるのではなく、自分が何を学びたいのかをはっきり把握した上で、講義内容を見てスクールを決めるべきです。また自分のレベルに合ったものを選ぶことも大切で、いくら評判の良いスクールでも自分のレベルに合っていなければ、宝の持ち腐れになってしまいます。サポート体制が充実しているスクールを選ぶことも、挫折しにくくなるため大切です。
プログラミングを学んで、その後に何を実現したいのかを明確にしておかないと、学習範囲も深さもかなり変わってくると思うので、まずは無料の講座を受講してみて具体的に何を制作できるのかを掴んでおいたほうがいいと思う。
プログラミングスクールの雰囲気や金額だけで選ぶのではなく、本当にそこで自分が学び続けられるのかをしっかり見極める必要があると思います。受講前のカウンセリングがあるスクールがほとんどなので、疑問や知りたいことをもれなく聞くことをおすすめします。また、受講したら絶対にプログラミングを仕事にするんだという強い気持ちが一番大事だと思います。私は受講後に何社か受けたものの採用に至らず諦めてしまったので、これから勉強する人には、諦めずにチャレンジし続けてほしいです。
何の目的でプログラミングを学び、活かしていきたいのかを明確にした上で選ぶと良いと思います。転職であれば、転職サポートがあるところが良いと思いますし、副業やフリーランスであれば、企業と繋がっていない所でも良いかと思います。ただ、スキルのみで営業の仕方を全く知らない状態では、お仕事を頂くのも難しいと思うので、スキル以外を学べる所も大事かと思います。あとは、しっかり管理してもらえる環境で、通学しながら、マンツーマンの講師が必要なのか、それとも自分の好きな時間で、オンラインで学べる方が便利だと思うのかも判断基準だと思います。費用や期間もさまざまなので、その辺も自分に合ったスクールを選べたら良いかと思います。
多くのアドバイスが寄せられましたが、多くの声に共通しているのが「費用だけではなく講義内容(何を学びたいか)も重視したほうが良い」というものでした。
ほかにも学習深度に影響する可能性があるため、マンツーマンによる講義とオンライン講義の選択についても「自分の環境をよく把握した上で選択するべきだ」とアドバイスが寄せられています。
キャリアに関して目標があるのなら、スクール選びは就職率や就職実績、就職サポートなどに注目し、将来的な希望を加味してよく考慮したほうが良いという声も。目標や計画がある場合、先を見据えたスクール選びが重要になりそうです。
「プログラミング=専門学校。だから、未経験者=スクール」といった考えの方が、まだまだ多い印象です。現代ではプログラミングは独学でも習得できます。プログラミングで何がしたいか明確にし、必要に応じてスクールを検討しましょう。
まとめ
学習意欲が高く効率的なスキル習得を求める傾向
プログラミングスクールを受講する人たちは学習意欲が高く、効率的な学びやスキル習得を希望する傾向が分かりました。キャリアチェンジやスキルアップのために受講する人が多数見られるのも特徴的です。
スクール選びでは費用や講義内容だけではなく、目標によってはキャリアサポートにも注目するべきだとの意見も見られます。そのためには受講生が自分で学習したい内容や将来的なキャリアプランを自覚しておくことが重要だと考えられる結果になりました。