エンジニア副業で低単価の案件を積み上げる状態から抜け出すには、単価交渉のパターンを事前に持っておくことが必要です。この記事では、副業デビュー〜3年目までに直面する4つの交渉場面(初回見積・値下げ要求・継続案件の値上げ・断り方)に対して、実例テンプレ付きで手順を解説します。
編集長コメント: 単価交渉のノウハウ記事は「強気で行こう」的な精神論が多いですが、実際には事前準備が大きく効くタイプの話です。この記事では準備〜文言〜対応の順で、副業案件評価メディアの視点で整理します。
本記事の位置づけ
本記事の値上げ幅の目安(10〜20%/20〜30%)・「50%以上の値上げは通りにくい」・
断るべき案件の兆候・低単価の下限値・「本業時給の1.5〜2倍」等は
当サイトの独自の目安であり、公的な業界標準や統計に基づくものではありません。
個別の交渉では、案件タイプ図鑑の該当時給・単価レンジと自分の想定工数・関係性を
突き合わせて判断してください。案件タイプごとの正本の数字は
案件タイプ図鑑を参照。
この記事で判断できること
- 初回見積を相場中央値以上で出す具体的な手順が分かる
- 値下げ要求への断り方の型が持てる
- 継続案件で単価を上げるタイミングと切り出し方が分かる
- 交渉が決裂した場合の断り方が分かる
対象:副業デビュー〜3年目までのエンジニア。すでに1件以上受注経験がある人向けです(デビュー前の人は最初の30日ガイド(準備中)を先に読んでください)。
単価交渉の全体像
| 場面 | 目的 | 難易度 | 実例テンプレ |
|---|---|---|---|
| 1. 初回見積 | 相場中央値以上で提示 | ★★ | あり |
| 2. 値下げ要求への対応 | 相場を守る/降りる判断 | ★★★ | あり |
| 3. 継続案件の値上げ | 時給を段階的に上げる | ★★★★ | あり |
| 4. 断り方 | 関係を悪化させずに終える | ★★ | あり |
以下、それぞれ詳しく解説します。
場面1:初回見積を相場中央値以上で出す
準備(見積前にやること)
- 1. 案件タイプ図鑑で該当案件の「想定単価レンジ」を確認
- 2. クラウドソーシングで類似案件を3件以上検索し、実勢価格を把握
- 3. 自分の想定工数を算出(バッファ20〜30%を含める)
- 4. 相場中央値以上の金額を「たたき台」として決めておく
見積提示の順序
❌ 避ける順序: 金額 → 内訳 → 前提条件
⭕ 望ましい順序: 前提条件 → 内訳 → 金額
金額を先に見せると発注者は金額から判断してしまいます。前提条件と工数内訳を先に示すことで、「この金額の根拠」を先に共有できます。
実例テンプレ(初回見積)
◯◯様
お世話になっております。ご依頼いただいた◯◯案件のお見積を送付します。
【前提条件】
- 対象環境:◯◯(例:PHP 8.2 / WordPress 6.5)
- 納品物:ソースコード一式 + 動作手順書
- 修正対応:納品後2週間以内の軽微な修正1回まで含む
- 対象外:◯◯(例:デザインカンプ作成、本番サーバへの直接アクセス)
【想定工数】
- 要件確認・設計:◯時間
- 実装:◯時間
- テスト・ドキュメント:◯時間
- 合計:◯◯時間
【お見積金額】
◯◯,◯◯◯円(税込)
【納期】
発注確定から◯◯日以内
【備考】
上記条件を大きく超える追加要望が発生した場合は、別途お見積させていただきます。
ご検討よろしくお願いします。
発注者から「予算はいくらまで大丈夫ですか?」と聞かれた場合
❌ 避ける返答: 「◯◯円までなら」(先に金額を出すと上限が決まる)
⭕ 望ましい返答:
「作業範囲を確定してからお見積をお出しさせてください。
現時点でご検討中の予算感がありましたら教えていただけると、
それに合わせて対応範囲をご提案します。」
これで金額の主導権を発注者側に渡せます。
場面2:値下げ要求への対応
「もう少し安くなりませんか」への3段階対応
ステップ1:即答で「はい」と言わない
即答で下げると「もっと下がる」と学習されます。
❌ 避ける返答: 「じゃあ◯円で」
⭕ 望ましい返答:
「ご予算のご事情を教えていただけますか。
金額を下げるためには対応範囲を絞る必要があります。
どこを削るのが良いか、一緒に検討させていただきます。」
ステップ2:金額と範囲の対応表を示す
範囲を絞ることで金額を下げる提案を出します:
【現行お見積】30万円(フル対応)
【範囲縮小案A】20万円(テスト工程を発注者側で実施)
【範囲縮小案B】15万円(ドキュメント簡素化+修正対応なし)
【範囲縮小案C】10万円(コア機能のみ、周辺機能はオプション)
ステップ3:それでも下げられない場合は降りる
相場中央値を大きく下回る金額を提示された場合、その案件は降りることを推奨します。理由:
- 極端な低単価の案件を積むと副業を続けにくくなる(案件タイプ図鑑の該当時給レンジの下限を下回る水準は避ける)
- 一度下げた単価は、同じ発注者との次回以降の基準になりやすい
- 相場外の発注者は他の要求(無料修正、緊急対応)も相場外になりやすい傾向
断り方(値下げ交渉決裂時)
「大変申し訳ないのですが、◯◯円ですと弊社の作業品質を維持することが難しく、
今回はお引き受けが難しい状況です。ご期待に沿えず申し訳ございません。
今後、別の案件でご縁がありましたらどうぞよろしくお願いいたします。」
場面3:継続案件の単価を上げる
値上げを切り出せるタイミング
以下のいずれかが発生した時が切り出し時:
- 1. 契約から6か月〜1年経過(相場改定・自分のスキル向上を根拠にできる)
- 2. 作業範囲が拡大(当初契約より作業内容が増えた)
- 3. 発注者から追加依頼(追加見積のタイミングで既存分も相談)
- 4. 他社から高単価案件のオファー(客観的な相場感の根拠になる)
値上げ幅の目安(当サイトの独自基準)
以下は当サイトの独自の目安であり、公的な業界標準ではありません。案件・スキル・関係性で幅があります。
- 6か月経過:目安10〜20%程度
- 1年経過:目安20〜30%程度
- 作業範囲拡大:拡大分の相場(案件タイプ図鑑の該当レンジ)に合わせて再計算
注意: 一度に大幅な値上げ(当サイトの目安:50%以上)は通りにくい傾向。段階的な改定を推奨します。
実例テンプレ(継続案件の値上げ)
◯◯様
いつもお世話になっております。
◯◯案件を◯◯月から継続でご依頼いただき、ありがとうございます。
弊社の作業単価改定のご相談をさせてください。
【現行】月額◯◯,◯◯◯円(◯時間まで含む)
【改定案】月額◯◯,◯◯◯円(◯時間まで含む・◯%増)
【改定の背景】
- 契約開始から◯か月経過し、◯◯対応(例:新規プラグイン対応、脆弱性対応の追加)が
作業範囲に加わっている状況を踏まえ、単価を見直させていただきたく。
- 同種案件の相場も◯◯円〜◯◯円で推移しています(クラウドテック等の求人)。
【適用希望時期】
◯◯月分から適用でご検討いただけますでしょうか。
もしご事情がございましたら遠慮なくお知らせください。
継続いただけない場合の対応方針もご相談させていただきます。
よろしくお願いします。
値上げが通らなかった場合
選択肢1: 作業時間の上限を下げる(時給を実質的に上げる)
「値上げが難しい場合、現行金額のまま作業時間を月◯時間に短縮する形で
継続させていただければと思います。」
選択肢2: 契約終了を伝える
「大変申し訳ないのですが、現行単価では継続が難しい状況です。
◯月末をもって契約を終了させていただき、引き継ぎ資料の作成期間として
◯週間ご相談させてください。」
継続案件で単価を上げられない状態を続けると、単価を下げる失敗の失敗6(継続案件で単価改定を切り出せない)に陥ります。
場面4:断り方(案件を受けない判断)
断るべき案件の兆候
以下の兆候がある場合は、初回見積後でも降りることを推奨:
- 要件が「とりあえずいい感じに」で曖昧なまま
- 発注者から即レス・24時間対応を要求される
- 契約書を交わさず口頭で進めようとする
- 相場を大きく下回る予算を提示される
- 詳しくは受けて後悔した副業案件の条件を参照
断り方の型
ケースA:技術的な理由で断る
「ご相談ありがとうございます。詳細を拝見しましたが、◯◯(例:本番サーバへの
直接アクセスが必要な作業)は弊社の対応範囲外となります。
別の案件でご縁がありましたらよろしくお願いします。」
ケースB:時間的な理由で断る
「ご相談ありがとうございます。現在◯月末まで他案件で稼働が埋まっており、
新規のお引き受けが難しい状況です。◯月以降でしたらご相談可能ですので、
その頃に改めてお声がけいただけますと幸いです。」
ケースC:予算が合わずに断る
「ご相談ありがとうございます。想定される作業内容から算出したところ、
弊社のお見積は◯◯円程度となります。ご予算と乖離がある場合は、
今回はお引き受けが難しい状況です。ご検討よろしくお願いします。」
断ってはいけないケース
以下は「断らずに、条件を絞る」ことを推奨:
- 単価は良いが範囲が広い → 範囲を絞る提案をする
- 納期がタイト → 納期延長 or 範囲縮小を提案
- 継続案件で少し要望が増えた → 追加見積で対応
安易に断ると信頼関係が失われます。「条件を絞れば受けられる」場合は交渉を優先します。
副業デビュー時によくある間違い
間違い1:「実績がないから安くする」
副業デビュー時に「実績がないから」と相場を大きく下回る金額で提示する人がいますが、これは避けたい選択です。理由:
- 一度出した見積は同じ発注者との次回以降の基準になりやすい
- 実績はGitHubのポートフォリオ・本業経験で補える
- 相場を大きく下回る金額を選ぶ発注者は、他の要求も相場外になりやすい傾向
間違い2:「継続前提だから」で1件目を安くする
「継続してもらえたら次から上げます」で1件目を安くしても、継続が確約されない限り単価は戻りません(単価を下げる失敗の失敗4)。
間違い3:口頭で「なんとかなります」と答える
金額・納期・範囲の口頭合意は後でトラブルになります。すべて書面(メッセージ・見積書)で確認してください。
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- 案件タイプ図鑑:全案件タイプ一覧
よくある質問
Q. 相場が分からない案件タイプの見積はどう出せばいいですか?
A. 該当する案件タイプ図鑑の想定単価レンジと、クラウドソーシングでの類似案件3件以上の実勢価格から算出します。図鑑にない特殊案件は、同種スキルを求める本業求人の月給から時給換算する方法もあります(当サイトの独自の目安:副業単価は本業時給の1.5〜2倍程度。案件タイプ・関係性で幅があるため参考値)。
Q. 継続案件で値上げを切り出したら契約を切られました。どうすればいいですか?
A. 値上げの相談で切られる契約は、単価改定を許容しない構造の契約です。長期的には他の要因(予算縮小・発注者側の事業変化)でも切られやすいと考え、切られた場合は単価を下げる失敗の失敗6を回避できたと捉え、次の案件に集中する方針を推奨します。
Q. 発注者から「他社は◯円で見積を出している」と言われました。どう返せばいいですか?
A. 「その金額でご対応可能な会社様に依頼されるのが良いかと思います」と返します。相場外の金額を提示された場合、そこに合わせる必要はありません。他社の見積内訳と自分の見積内訳を比較して、範囲や納品物に違いがあれば説明する余地はあります。
更新履歴
- 初回公開日:(GSC接続後・司令塔判断待ち)
- 最終更新日:2026-08-25(草案作成)
- 評価変更:初版
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